沖縄のセルフダイビングポイントマップ by Japan Self Diving Force
 
Molnár János

Molnár János

難易度: 中上級~最上級(オーバーヘッド、暗所、テクニカルダイビング)
流れ: 基本的に無し
最大水深: 通常35m 最大90m
エントリーまでの距離: ダイレクトエントリー
ポイントの見所: 洞窟そのもの全て

テクニカルダイバーの間では世界的に有名な水中洞窟システム。2024年現在判明しているだけでも総延長2km、最大水深90mの巨大水中洞窟である。ブダペストを含めたハンガリーは伝統的に温泉地であり、様々なところから温泉が湧いている中、こちらの洞窟も例に漏れず地下から湧き出る温泉水で満たされているため、年を通して水温が20~25℃の間に保たれており、洞窟としてはとても珍しく平均水温が高いため安全に潜りやすい。特筆すべきは首都の中心部の真下にあり、ここまでアクセスが至便のケーブダイビングスポットは世界中を探してもブダペストだけであろう。中はどうかと言うと、この世のものとは思えないくらい美しい地球の造形と水中世界が広がっています(´ω`*)


ブダペストのブダ側、ドナウ川からほど近い、中世からの歴史を感じさせる建物が散見されるFrankel Leó通り。その一角に佇んでいる風光明媚な池がある。私も家が近いこともあり、幼少の頃から幾度となくその池の前を通って来たのに、まさかその直下に巨大水中洞窟が広がっているなんて… ダイバーになり、テクニカルダイビングに興味を持つまでは露知らずでした。事実、ここが世界中のケーブダイバーを魅了する、Molnár János(モルナール・ヤーノシュ)洞窟ということは地元民でも知らない人も多いです。何にせよ、我が家から歩いて15分で来られるこの場所は世界中のケーブダイビングスポットの中でも稀有な存在であることは間違いないでしょう

敷地内にはクラブハウスがあり、トイレ・シャワー、器材の販売ブースや休憩スポットがあります

クラブハウスを出てエントリー口に接続する通路へ出向くと、軍事要塞のような長い通路にテクニカルダイビング装備が物々しく立ち並び、外の牧歌的な風景とは打って変わって未踏の地へと旅立とうとする開拓者の風情が広がっている

大量に設置されているDPV(水中スクーター)
主にSUEXのもので統一されている

洞窟専属の調査チームの器材置き場。ダブルタンクセットアップやたくさんのリブリーザー(XCCR)が所狭しと並んでいる。Molnár Jánosのオーナーは自身がインストラクターでもあるXCCRを推している

ブリーフィングを終え、潜水予定をボードに記入し、器材を装着したらいよいよ入水して洞窟へ入っていく。写真は出入口となっているドームへと続く階段

ちなみにこの階段には扉が付いており、世界中のダイビングメーカーや指導団体・チームのステッカーがたくさん貼られている

よく見ると…

ここにも見覚えのあるステッカー(´ω`*)

階段を降りると、エントリー/エグジットポイントとなっているドームプールが現れるので、ここから入水していく。潜行地点は水流が止まっているため26~27℃ほどありとても暖かい

漆黒へと潜行して行く

洞内はガイドツアーに対応するため、各分岐点や進路表示がかなり丁寧にマーキングされており、出口を示すアローの数も多いので安心感がある

Molnár Jánosでは主なルートとして旧通路・A通路・B通路・C通路があり、各メインルートから多くの支洞が枝分かれしている

こちらは旧通路の様子。比較的狭い通路やちょっとしたリストリクション(狭窄部)が続くのが特徴
旧通路の様子

C通路の一部の様子。左右から岩壁に挟まれており、足元は30m以上沈み込んでいる、天然のクレバスの景色は圧巻

Molnár Jánosはご覧の通りスケールが大きく、サイドマウントが必要な箇所は比較的少ない、大きな空間が特徴のケーブダイビングスポットです

美しい洞窟を堪能した後は潜行/浮上地点まで戻り、安全停止もしくは減圧停止をクリアーして浮上。見え辛いですが、頭上の照明にうっすらと照らされているデコ(減圧)ステーションもあります

ブダペストの下に広がっているダンジョンのような異世界、Molnár János洞窟は訪れたものを必ず魅了する、魔法のような世界でした。私は初めてここを潜った時はまるで宇宙へ行ったかのような充足感がありました… それだけ特別な場所です。

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(執筆: アレン)